木造住宅のメリット・デメリットと理解しておきたい防音性と耐震性

公開日
2021.11.29
更新日
2026.05.22

「家を購入する前に木造住宅のメリットを知っておきたい」と考えていませんか。木造・鉄筋コンクリート造・軽量鉄骨造の中で、最も現実的な選択肢なので気になりますよね。

木造住宅の主なメリットは、建築コストを抑えやすいことと日本の気候に合った住環境を実現しやすいことです。一方で、防音性や耐震性など、気になるポイントもあります。

この記事では、木造住宅のメリット・デメリットを詳しく紹介するとともに、木造住宅の防音性や耐震性について解説しています。木造住宅を中心に家の購入を検討している方は参考にしてみてください。

木造住宅とは?

木造住宅に明確な定義はありません。一般的には、柱や梁など、建物の主な構造部分に木材を用いている住宅を木造住宅といいます。古くから寺社仏閣の建立などに用いられてきたため、日本では木造建築技術が発展しています。

現在もこの流れを引き継ぎ、日本の戸建住宅の約9割が木造住宅と考えられています。木造住宅の主な工法は以下の通りです。

【木造住宅の主な工法】

工法 詳細
木造軸組工法 柱と梁で建物を支える伝統的な工法。在来工法とも呼ばれる。
2×4工法 2×4インチの木材で枠組みを作り合板を接合して面で建物を支える工法。

木造住宅についてさらに詳しく見ていきましょう。

参照:国土交通省|木造住宅の現状
参照:統計局ホームページ/日本の住宅・土地-平成20年住宅・土地統計調査の解説-/2-1 住宅の種類,建て方及び構造

木造軸組工法(在来工法)

木造軸組工法は、柱と梁を組み合わせて建物を支える、日本で広く採用されてきた工法です。
敷地条件や家族構成に応じた設計がしやすいとされる一方で、間取りの自由度は工法だけで決まるものではなく、耐力壁の配置や法規制、設備計画などによって変わります。

また、接合部の計画や施工精度によって住宅性能に差が生じることがあるため、設計内容と施工体制の両方を確認しながら検討することが大切です。
将来の増改築や間取り変更のしやすさについても、初期の設計条件や構造計画に左右されるため、長く住むことを見据えて判断するとよいでしょう。

2×4工法・2×6工法

2×4工法や2×6工法は、規格化された木材と構造用面材を用い、壁・床・天井を一体として構成する工法です。
2×6工法は、部材寸法や壁構成によっては断熱層を厚く取りやすい場合がありますが、断熱性能は窓や外壁、屋根などを含む外皮全体で評価されます。

また、枠組壁工法では、耐力壁線や開口部の計画について技術基準に沿った設計が求められます。
そのため、希望する間取りが実現できるかは、構造計画や法規条件を踏まえて確認することが大切です。

木造以外の建築工法

木造住宅を検討する際は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造との違いも合わせて知っておくと、木造の良さがより見えやすくなります。
建物の構造が変われば、建築コスト、工期、断熱性、防音性、火に対する考え方も変わってくるからです。
例えば、頑丈さや遮音性を重視しやすい構造もあれば、コストや住み心地とのバランスを取りやすい構造もあります。
ここでは、戸建てで比較対象になりやすい代表的な構造を紹介します。

鉄骨造(S造)

鉄骨造は、柱や梁に鉄骨を用いて建物の骨組みをつくる構造です。
部材の強度を生かしやすく、大きな空間や開放的な間取りを実現しやすい一方で、住宅の断熱性能は構造だけでなく、断熱材や窓を含む外皮全体の仕様によって左右されます。
そのため、鉄骨造を検討する際は、構造種別だけでなく、個別の断熱設計まで確認することが大切です。

また、建築コストは木造より高くなる傾向があり、戸建てでは予算とのバランスを見ながら選ぶ必要があります。
品質が安定しやすい構造として検討される一方、住み心地は仕様次第で差が出ます。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせて建物をつくる構造で、重厚感のあるつくりが特徴です。
遮音性や耐火性に期待しやすく、マンションや中高層建築で多く採用されますが、戸建てでは建築コストや工期が大きくなりやすい面もあります。

そのため、性能面の安心感を重視する人には魅力がある一方、費用負担まで含めて比較すると木造の現実的な選びやすさが見えてくるでしょう。

木造住宅に使用される木材の種類

木造住宅に使用される主な木材として以下のものが挙げられます。

【木造住宅に使用される木材】

  • スギ
  • ヒノキ
  • マツ
  • ナラ
  • ヒバ

各木材の特徴は次の通りです。

スギ

国内で最も生産量が多い木材で、成長が速く真っすぐ育つため加工しやすく、人気の高い木材です。

軽量で耐久性も高いなど実用性も兼ね備えています。調湿効果を期待できる点も見逃せません。

非常に優れた木材と考えられていますが、柔らかいため傷つきやすく、へこみやすい面もあります。柔らかさは加工のしやすさにもつながるため、メリットにもデメリットにもなるといえるでしょう。

ヒノキ

国内でスギの次に生産量が多い木材です。最も大きな特徴は、耐久性が非常に高いことです。時間の経過とともに強度を増すため、頑丈な木造住宅を建てるのに適しており、歴史的建築物にも数多く用いられています。

リラックスを促すとともに抗菌作用も期待できるフィトンチッドを放出する点も魅力です。ヒノキを用いた木造住宅は、落ち着いて過ごせるかもしれません。

ただし、ヒノキは高級木材に分類され、建築コストは割高になる傾向があります。

マツ

マツは、パイン材と呼ばれている木材です。木造住宅の建築に用いられているのは、レッドパイン(赤松)と呼ばれる種類です。

マツの特徴は、強度が高いことで傷やすり減りに強いため、主に梁などの横架材に用いられています。

一方で、乾燥すると不可逆的にねじれる特徴もあります。したがって、しっかりと乾燥させてから用いなければなりません。

ナラ

ナラはオークと呼ばれることがある木材です。住宅のほか家具などにも用いられています。特徴は、傷に強く耐久性が高いことです。

また、木目が美しい点も見逃せません。これらの特徴を活かし、床材として用いられることが少なくありません。床材として用いた場合、経年変化を楽しめます。

ただし、定期的なメンテナンスが欠かせません。

ヒバ

ヒバは、アスナロなどと呼ばれることがある木材です。耐朽性と耐湿性に優れています。真菌類に対し強い殺菌作用を期待できるヒノキチオールを含む点も特徴です。

これらを踏まえて、建物の土台に多く用いられています。ちなみに、シロアリにも強いと考えられています。

木造住宅が日本の戸建てで選ばれる理由

木造住宅は、日本の一戸建て住宅で広く採用されている構造の一つです。
比較的コストを抑えやすく、断熱性や調湿性に配慮した住環境をつくりやすいうえ、敷地条件や家族構成に応じた設計を検討しやすい点が、選ばれる理由とされています。

一方で、施工会社の選びやすさは地域差もあるため、会社数の多さだけで判断しないことが大切です。
施工事例や工事監理体制、第三者検査の有無まで確認したうえで比較すると、納得のいく住まいづくりにつながりやすくなります。

木造住宅のメリット・デメリット

木造住宅には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット

木造住宅の主なメリットは以下の通りです。

建築コストを抑えられる

木造住宅の建築コストは、鉄筋コンクリート造や軽量鉄骨造に比べて安価といえます。基礎工事と建材の処理に手間がかからないからです。

例えば、鉄筋コンクリート造は重量が重いため、基礎工事を念入りに行わなければなりません。また、建材に防錆処理などを行う必要もあります。手間と時間がかかるため、木造よりも高コストになるのです。木造住宅は、建築コストを抑えたい人に向いています。

関連記事:戸建て住宅の初期費用は? 費用を安く抑える方法も紹介

断熱性が高い

木材は鉄よりも熱を伝えにくい特徴があります。一般社団法人住宅生産団体連合会の資料によると、鋼の熱伝導率は55、ステンレス鋼の熱伝導率は15、コンクリートの熱伝導率は1.6、天然木材の熱伝導率は0.12です[1]。

木造住宅は、鉄筋コンクリート造・軽量鉄骨造に比べ住環境の改善や省エネ化を図りやすいといえるでしょう。

関連記事:建売住宅が寒いといわれるのはなぜ?家選びのポイントとは

日本の気候に適している

木材は、部屋の空気が乾燥すると蓄えていた水分を吐き出し、部屋の空気が湿ると空気中の水分を吸い込むと考えられています。つまり、調湿効果を期待できると考えられているのです。

夏のジメジメ、冬のカラカラを解消するため、木造は日本の気候に合っている構造といえるでしょう。結露やカビの発生を抑えやすい点も魅力です。

関連記事:家の湿気はどこにたまる?湿気の対策方法を徹底解説

リラックスできる

木材の香りには、リラックス効果があると考えられています。具体的には、血圧を低下させる、ストレスを軽減するなどの効果を期待できると考えられているのです。

また、木材に触れるとストレスが生じにくくなるともいわれています。木造住宅は、快適な生活を送りやすいといえるでしょう。

デメリット

木造住宅の主なデメリットは次の通りです。

シロアリ対策が必要

木造住宅は、シロアリ被害を受けるリスクがあります。シロアリ被害を受けると、耐震性が低下することや雨漏りすることなど考えら、建物の寿命を縮めてしまう恐れがあるのです。

木造住宅では防虫処理などのシロアリ対策を意識しましょう。

耐久性が低い

木造住宅の耐久性は、鉄筋コンクリート造よりも低いと考えられています。

参考にそれぞれの耐用年数を示すと、木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年です。「耐久性=耐用年数」ではありませんが、鉄筋コンクリート造よりも早く資産価値がなくなると考えられていることがわかります。

適切に管理しないと、鉄筋コンクリート造よりも早く寿命を迎える可能性があります。

関連記事:建売住宅の寿命は何年?

施工品質に差が出ることがある

施工品質は木造住宅に限らず、設計図書や施工管理、工事監理、第三者検査の有無などによって確認することが大切です。
そのため、価格だけで決めるのではなく、施工事例や現場管理の体制、検査の仕組みまで含めて比較しておくと安心でしょう。

火災保険料が高くなることがある

木造住宅は、火災保険で耐火・準耐火構造より保険料が高くなる場合があります。
とはいえ、木造でも省令準耐火建物などに当てはまれば負担を抑えやすいため、建築費だけでなく保険料まで含めて総額を比較しておくことが大切です。

木造住宅の寿命の目安

木造住宅の寿命を考えるときは、税務上の法定耐用年数と、実際に住み続けられる年数を分けて捉えることが大切です。
木造住宅の法定耐用年数は短めに設定されていますが、それだけで住まいの寿命が決まるわけではありません。
防水や防蟻、外壁や屋根の点検・補修を適切に続ければ、長く快適に住み続けやすくなります。

さらに、新築時の仕様や通気計画も耐久性に影響します。木造住宅を検討する際は、築年数だけを見るのではなく、どのようなメンテナンスを前提に長持ちさせるかまで確認しておきましょう。

木造住宅の耐火性

木造住宅は火に弱いと思われがちですが、一概にそうとはいえません。
木材は燃えると表面に炭化層をつくり、その層が内部への熱の侵入を抑える性質があるためです。

さらに、木造住宅でも省令準耐火構造などの仕様に対応すれば、外部からの延焼防止、各室防火、他室への延焼遅延といった防火性能を備えられます。
どの木造住宅でも同じ耐火性を持つわけではないため、建物の構造だけで判断するのではなく、壁や天井の仕様、使用する建材、住宅会社の説明まで含めて確認することが大切です。

木造住宅の防音性

木造住宅の防音性は、他の構造に比べて低いと考えられています。

防音性が高い順に並べると「鉄筋コンクリート造・軽量鉄骨造・木造」になります。防音性が低い理由は、構造材が軽いうえ壁の中の空洞が大きいため、音が伝わりやすいからです。(コンクリートなど重い構造材の方が音を遮断します)。

木造住宅は、他の構造に比べて遮音性が低いといえるでしょう。(※騒音を小さくする吸音性は高いと考えられています。)

ただし、すべての木造住宅の防音性が同じわけではありません。木造住宅の中にも、防音性が高いものはあります。

例えば、壁の中にグラスウール断熱材やロックウール断熱材を充填している木造住宅は防音性が高くなります。これらの素材は吸音効果が高いからです。

あるいは、サッシや窓ガラスにこだわることでも防音性を高められます。具体的には、2重サッシ、防音ガラスを用いると、防音性を大きく高められます。音は、窓からも室内・室外へ伝わるからです。

ここまで見てきた通り、木造住宅の防音性は基本的に高くありません。大きな道路に面している、室内で楽器を弾きたいなどの事情がある場合は、何かしらの対策が必要といえるでしょう。吸音性の高い断熱材を壁の中に充填する、防音性の高いサッシ・窓ガラスを採用するなどを検討するとよいかもしれません。

まずは、住宅メーカーで相談することをおすすめします。

参照:第1部 特集2 第2節 建築分野における木材利用の動向(1):林野庁

木造住宅の耐震性

木造住宅の耐震性は、他の構造と大きく変わりません。現在の耐震基準では、家の構造・工法に関わらず、震度6強~7の大規模地震でも倒壊・崩壊しない耐震性が求められるからです。

したがって、木造住宅だから、鉄筋コンクリート造や軽量鉄骨造よりも耐震性が大きく低いということはありません。同様に、工法(木造軸組工法・2×4工法など)による大きな違いもないと考えられます。

しかし、構造による耐震性の違いはあります。木造住宅は、鉄筋コンクリート造や軽量鉄骨造に比べて軽量です。地震エネルギーは建物の重さと比例して働くため、他の構造よりも木造住宅の揺れは小さくなります。

したがって、家具の転倒などの被害を小さくできる可能性があります。木造住宅には、他の構造にはない優れた面があるのです。

現在の耐震基準に基づき建てられた木造住宅は、鉄筋コンクリート造や軽量鉄骨造に劣らない耐震性を備えていると考えられます。現在の耐震基準が設けられたのは2000年です。

2000年以前に建てられた木造住宅は耐震性が低い恐れがありますので、必要に応じて、耐震補強・建て替えなどを行うようにしましょう。

木造住宅はメリットがたくさん

今回は、木造住宅について詳しく解説しました。

木造住宅には、建築コストを抑えられる、日本の気候に合っている、リラックス効果を期待できるなどのメリットがあります。心配されがちな耐震性も、他の構造に劣るわけではありません。非常に魅力的な構造といえるでしょう。

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[1]一般社団法人住宅生産団体連合会:建築物省エネ法省エネ基準に基づく省エネ計算
演習事例テキスト
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/pattern2_enshuzirei.pdf

この記事の監修者 中島 由香
中島 由香

株式会社ジョンソンホームズ 新築建売SOUHOUSE営業統括。 2021年に中途入社後、前職のアパレル業界で培った高い接客スキルと お客様への細やかなフォローに定評があり、3年目で営業統括へ抜擢。現在は販売管理と後進の育成に注力。

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