建築物省エネ法とは?省エネ法との違いや2025年改正のポイントをわかりやすく解説

公開日
2026.05.18

「建築物省エネ法」という言葉を耳にしたことがある方も、その内容までしっかり把握できている方は少ないかもしれません。
2025年4月に大きな改正が施行され、新築住宅のほぼすべてに省エネ基準の適合が義務づけられました。住宅を購入・新築する場合だけでなく、不動産会社や建設業者にとっても、この法律の内容を理解しておくことは欠かせません。

本記事では、建築物省エネ法の基本的な仕組みから省エネ法との違い、2025年改正のポイントまで体系的に整理しました。加えて省エネ基準の計算方法、対象建築物の種類、住宅購入者にとってのメリットも詳しく解説します。
新築一戸建ての購入を検討している方や、今後の住宅市場の動向を知りたい方はぜひ参考にしてください。

建築物省エネ法とは

建築物省エネ法(正式名称:建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)は、2015年に制定された法律です。
建築物のエネルギー消費性能(省エネ性能)の向上を図ることを目的としており、新築建築物への省エネ基準適合の義務化や、省エネ性能の表示制度などを定めています。

日本では建築物が国内の最終エネルギー消費量の約3割を占めているのです。
カーボンニュートラル実現に向けて、建築分野の省エネ推進は重要課題に位置づけられています。

国際的にもパリ協定の下で2030年・2050年に向けた温室効果ガス削減目標が定められており、住宅・建築物の省エネ化は日本全体の温暖化対策の柱の一つです。

そこで国は段階的に規制を強化してきました。2017年には大規模建築物(床面積2,000㎡以上)への適合義務化が始まり、2019年には中規模建築物(床面積300㎡以上)へと対象が広がっています。

そして2025年4月には、住宅を含むほぼすべての新築建築物へと義務化の対象が拡大されました。
日本の建築行政における大きな転換点として位置づけられます。

この法律のポイントは、単に基準を満たすことを求めるだけでなく、省エネ性能をわかりやすく「見える化」する仕組みも併せて整備している点です。
住宅の省エネ性能ラベルや建築物省エネ法に基づく表示制度により、消費者が建物を選ぶ際の判断材料が増えています。

特に不動産の売買・賃貸時には省エネ性能ラベルの表示が求められるようになり、物件選びの新しいポイントとして定着しつつあります。

省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)との違い

建築物省エネ法と混同されやすい法律が「省エネ法」(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)です。どちらも省エネを目的とした法律ですが、適用対象と規制内容が大きく異なります。

項目 省エネ法 建築物省エネ法
対象 工場・事業場など(エネルギー多消費事業者) 建築物(新築・既存)
主な義務 エネルギー管理・定期報告・計画策定 省エネ基準適合・性能表示
所管省庁 経済産業省 国土交通省・経済産業省
適用単位 法人・事業場単位 建築物・住戸単位

省エネ法は主に工場や大型事業場を対象に、エネルギー多消費事業者にエネルギー管理・報告義務を課すものです。
年間エネルギー使用量が原油換算1,500kL以上の特定事業者は、エネルギー管理士の選任や定期報告書の提出が求められます。

一方、建築物省エネ法は建物そのものの断熱性能や設備の効率性を基準として定め、新築時の適合を義務付けている点が特徴です。
所管省庁にも違いがあります。省エネ法は経済産業省、建築物省エネ法は国土交通省と経済産業省の共管です。

住宅を建てる・購入する場面で関係する法律は、建築物省エネ法といえます。
省エネ法は業務用大型ビルや工場のオーナーが主に意識すべき法律で、一般の住宅購入者が直接的に関わるのは建築物省エネ法です。
オフィスビルでは、両方の法律が適用される二重構造が生じる場合もあります。

具体的には、建物側が建築物省エネ法による省エネ基準適合義務を負い、テナント側(入居企業)は省エネ法上のエネルギー管理義務を担う形です。

2025年4月施行:建築物省エネ法の主な改正ポイント

2025年4月1日に施行された改正建築物省エネ法では、規制範囲の大幅な拡大と支援制度の充実が図られました。
主な改正ポイントを4つに整理して解説します。

省エネ基準適合の義務化が全新築住宅・建築物に拡大

改正前は床面積300㎡以上の建築物が適合義務の対象でしたが、2025年4月以降は戸建て住宅や小規模建築物(300㎡未満)も義務化の対象に加わりました。
これにより、新築着工される建築物のほぼすべてが省エネ基準に適合しなければなりません。

経過措置として、2025年3月末までに建築確認申請が受理されているケースは従来ルールが適用されます。

ただし、今後の新築住宅は、設計・施工段階で省エネ基準を満たすことが法的に必須となります。
ハウスメーカーや工務店には、省エネ性能の確保を前提とした設計・施工体制の整備が急務です。

住宅購入者の視点では、2025年以降に新築される物件はすべて法定の省エネ基準をクリアしているはずです。
逆に言えば、省エネ基準を下回る住宅は原則として建設・販売できなくなり、最低限の省エネ水準が法律で担保される構図に変わっています。

②建築確認・検査の手続きに省エネ適合確認が統合

改正後は建築確認申請の際に省エネ基準への適合性審査が組み込まれ、省エネ基準を満たさない建築物は建築確認を受けることができなくなりました。
従来は建築基準法上の確認申請と省エネ法上の届出が別々に処理されていましたが、一元化により手続きの流れが整理されました。

審査では、一次エネルギー消費量基準(BEI値)と外皮性能基準(UA値・ηAC値)の両方について適合確認を実施します。
担当するのは確認審査機関または登録建築物エネルギー消費性能判定機関で、設計内容を専門的に確認します。

建築士は設計段階で適合計算を行い、必要な書類をそろえたうえで申請を行う流れです。

③省エネ性能の表示制度が義務化

2025年4月以降、建築士は建築主に対して省エネ性能に関する説明義務を負っています。
加えて、住宅・建築物の販売・賃貸に際して省エネ性能ラベルを表示することも努力義務化されました。

省エネ性能ラベルには断熱等性能等級(1〜7)と一次エネルギー消費量等級(1〜6)が表示されます。購入者や入居者が物件を比較する際の判断材料として活用できます。
国土交通省が運営する「省エネ住宅・建築物ナビ」では、ラベルに記載されたQRコードから詳細情報を確認することも可能です。

ラベルの普及により、省エネ性能の高い住宅が市場で正当に評価される環境が整いつつあります。

④ZEH・ZEB水準の普及促進強化

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、断熱・省エネ設備の導入に加えて再生可能エネルギーを活用する住宅です。
主に太陽光発電を組み合わせ、エネルギー収支をゼロ以下に抑える点が目標です。
業務用建築物向けには、同様の概念としてZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)が位置づけられています。

改正により、2025年以降に建設された公共建築物については、ZEB基準(建物全体でのエネルギー消費量削減50%以上)の達成が原則として義務化されました。
民間住宅についても補助金・税制優遇による誘導策が拡充されており、ZEH基準を満たすと住宅ローン減税の控除上限額の拡大が図られています。

政府は2030年度以降に新築される住宅の平均がZEH基準を満たすことを目標に掲げており、今後もZEH普及に向けた支援策が継続される見通しです。

建築物省エネ法の省エネ基準とは

建築物省エネ法では、建築物の省エネ性能を評価するために2種類の基準が設けられています。①外皮性能基準と②一次エネルギー消費量基準です。

外皮性能基準(UA値・ηAC値)

外皮性能基準は、建物の外壁・屋根・床・窓などの断熱・遮熱性能を評価するものです。
主な指標として以下の2つが使われます。

  • UA値(外皮平均熱貫流率):建物全体の断熱性能を示す指標で、数値が小さいほど断熱性能が高くなります。単位はW/(㎡・K)で、壁・屋根・床・窓の各部位の熱貫流率と面積を加重平均して算出します。
  • ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率):夏の日射を遮る性能を示す指標で、数値が小さいほど日射遮蔽性が高くなります。窓の面積・向き・日射取得率の組み合わせで決まります。UA値の基準値は地域区分で異なります。

北海道などの寒冷地(1・2地域)は0.46以下、関東・東海(5・6地域)は0.87以下が省エネ基準です。

九州・沖縄(7・8地域)はUA値基準の適用外で、日射遮蔽性能のみを評価する仕組みです。
断熱等性能等級では等級4が省エネ基準相当、等級5がZEH水準、等級6・7がより高い断熱性能を示します。

住宅性能表示制度では等級が新築住宅の評価書に記載され、購入者の物件比較の指標として参照されています。
断熱等性能等級は中古住宅の評価でも参照される指標です。
等級4未満の住宅は断熱改修の余地があり、リフォームローンや補助金の活用で性能向上を図れる場合もあります。

一次エネルギー消費量基準(BEI値)

一次エネルギー消費量基準は、空調・給湯・照明・換気・昇降機などの設備が1年間で消費するエネルギー量を評価する仕組みです。
評価指標はBEI(Building Energy Index)と呼ばれ、計算式は次のとおりです。

BEI = 設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量
BEIが1.0以下であれば省エネ基準を満たしています。
BEI 0.8以下(再エネ除く)かつUA値が地域の基準値以下であればZEH基準相当です。

加えて再生可能エネルギーを組み合わせ、エネルギー収支をゼロ以下にしたものがZEHと定義されます。
住宅の省エネ性能ラベルに記載される「一次エネルギー消費量等級」は、BEI値の低さに応じて等級1〜6で評価されます。

BEI 1.0以下が等級4(省エネ基準相当)、BEI 0.8以下が等級5、BEI 0.7以下が等級6となっており、等級が高いほど省エネ性能に優れた住宅です。
設計一次エネルギー消費量は、国土交通省が提供する「住宅・建築物の省エネルギー基準に係るプログラム」で計算します。

入力データは断熱材の仕様、窓のU値・SHGC、給湯機の種類、照明器具の種類などです。

建築物省エネ法の対象となる建築物

建築物省エネ法は、建築物の用途・規模ごとに適用される制度が違います。
2025年4月の改正後の区分を整理しました。

義務対象建築物

2025年4月以降、新築されるほぼすべての建築物が省エネ基準適合義務の対象となりました。具体的には以下のカテゴリに分類されます。

  • 特定建築物(床面積2,000㎡以上の非住宅):オフィスビル、ホテル、病院、大型商業施設などが該当し、2017年から義務化対象でした。
  • 中規模建築物(床面積300〜2,000㎡未満の非住宅):中小規模の事務所、診療所、学校、飲食店などが該当し、2019年から義務化対象でした。
  • 小規模建築物・住宅(床面積300㎡未満):戸建て住宅、アパート・マンション(各住戸)、小規模店舗などが該当し、2025年4月から義務化対象に追加されました。

床面積10㎡以下の小規模な増改築や、文化財に指定された建築物、農林漁業用の特定建築物などは適用対象外です。

一方、リフォーム(既存建築物の改修)は原則として義務対象外ですが、大規模修繕や用途変更を行う際は、届出対象になるケースもあります。

届出対象建築物

義務対象に含まれない既存建築物の大規模修繕や、用途変更を行う場合は「届出」の対象となる場合があります。
所管行政庁(都道府県・市区町村)への届出を要する場合は、設計段階での確認が欠かせません。
届出後に所管行政庁から指示を受けた場合は、省エネ基準への適合措置を講じる義務を負います。
既存建築物は義務化の対象外です。

ただし、改修時には省エネ改修補助金を活用することで、コストを抑えつつ性能を高めやすくなります。
代表的な制度には、省エネルギー投資促進支援事業費補助金や長期優良住宅化リフォーム推進事業があり、断熱改修や高効率設備への更新を支援しています。

改修内容や住宅の性能要件によって補助上限が異なるため、利用前に各制度の要件を確認しましょう。

住宅購入者にとっての3つのメリット

建築物省エネ法の義務化は規制強化の側面がありますが、住宅を購入・新築する側にとっては多くのメリットがあります。
2025年以降の新築住宅に求められる省エネ基準を理解することで、賢い住宅選びにつなげましょう。

①光熱費の削減効果

省エネ基準を満たす住宅は断熱性能が高く、冷暖房効率にも優れます。
光熱費の削減効果が期待できる点も大きな魅力です。
国土交通省「住宅省エネルギー技術講習テキスト(2022年版)」では、断熱等性能等級4の住宅と無断熱住宅を比較した試算が紹介されています。

同試算では等級4の住宅は冷暖房費を年間で数万円程度抑えられる結果でした。
試算は住宅性能表示制度に基づくモデル計算で、住宅の断熱仕様・規模・地域区分によって幅が出ます。

具体的な見込み額は、ハウスメーカーや工務店が提示する住宅性能評価書や省エネ計算シートで確認しましょう。
ZEH基準(等級5相当)を満たす住宅は、太陽光発電と組み合わせれば電気代を実質ゼロに近づけられます。

エネルギー価格が高止まりしている状況下では、高断熱・高気密の住宅は経済的メリットが一層大きくなります。
長期的に見れば、省エネ住宅への初期投資はランニングコストの削減で回収可能で、断熱性能向上のための追加コストは数十万〜百数十万円程度です。

②住宅ローン減税・補助金の優遇

省エネ性能の高い住宅は、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の控除対象借入限度額が一般住宅より優遇されます。
2024〜25年入居分は世帯区分により上限が異なります。
一般世帯では認定住宅4,500万円・ZEH水準省エネ住宅3,500万円・省エネ基準適合住宅3,000万円が上限です。

子育て世帯・若者夫婦世帯(19歳未満の扶養親族あり、または夫婦のいずれかが40歳未満等)には500万〜1,000万円の上乗せ枠が適用されます。
ZEH水準なら最大4,500万円が上限です。
一般住宅(省エネ基準非適合)の2,000万円と比べると、省エネ性能に応じた優遇枠が大きく確保されています。

このほか、子育てグリーン住宅支援事業など2025年度の補助制度でも、省エネ性能が要件として位置づけられています。
一定の省エネ基準を満たせば、購入・建設時の実質負担を軽減できる点も見逃せません。

補助制度は年度ごとに名称や予算枠が変わるため、最新情報は国土交通省のウェブサイトや各自治体の住宅施策ページで確認しましょう。
フラット35を利用する場合は、ZEH基準を満たすとフラット35S(金利Aプラン)が適用され、当初10年間の金利が引き下げられます。

③室内環境・健康への好影響

断熱性能の高い住宅は、室温が安定しやすく「ヒートショック」(急激な温度変化による血圧変動)のリスクを抑える効果が期待できます。
ヒートショックは浴室・脱衣所・トイレなどで多く発生する事故です。

国土技術政策総合研究所の推計(2022年時点)では、高齢者を中心に年間1万人以上が亡くなっているとの報告もあります。
出典は国土技術政策総合研究所「ヒートショックに関する研究」です。

断熱性能を高めれば、冬でも室温が13℃以下に下がりにくく、部屋間の温度差も縮まる傾向です。
結露が発生しにくくなる点も特徴で、カビやダニの繁殖が抑制され、アレルギー症状の軽減にもつながります。

省エネ住宅への投資は、経済的メリットだけでなく健康面でのリターンもある点が見逃せません。
快適な住環境は生産性の向上や生活の質(QOL)の改善にも寄与します。

テレワークが定着した現在、自宅で長時間過ごす方にとって断熱・気密性能の高い住宅の価値は大きくなっています。

まとめ:建築物省エネ法の要点と住宅選びへの活用

建築物省エネ法は2025年4月の改正によって、新築住宅を含むほぼすべての建築物に省エネ基準適合を義務付ける法律となりました。
省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)とは対象・目的が異なり、住宅購入・新築においては建築物省エネ法が直接的に関係します。

また、省エネ性能は建物の資産価値にも影響を与える要素です。
エネルギー効率の高い住宅は中古市場でも評価が高まる傾向にあり、将来の売却時にも有利に働く可能性も指摘されています。
省エネ基準に適合した高品質な新築住宅をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。

当社(ソウハウス)では、北海道・札幌エリアを中心に断熱性能にこだわった新築建売住宅を提供しています。
北海道は全国でも特に厳しい省エネ基準(UA値0.46以下)が求められる寒冷地であり、光熱費を抑えながら快適に暮らせる高断熱住宅の需要が高まっています。

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