住宅ローン控除の還付金はいくら?計算方法と申告手順を解説
- 公開日
- 2026.07.01
- 更新日
- 2026.07.02
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを購入・建築した場合に所得税の控除を受けられる制度です。
控除額は年末残高の0.7%で計算され、最大13年間にわたって所得税から差し引かれます。
「実際にいくら還付されるの?」「いつ口座に振り込まれるの?」と疑問を持つ方は少なくありません。
住宅ローン控除の還付金について、計算方法・年収別シミュレーション・申告手続きの流れを把握しておくことが大切です。
省エネ住宅を選ぶと借入限度額が高くなり控除額が最大化できるため、住宅タイプ別の上限額についても詳しく確認していきましょう。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?
住宅ローン控除の基本的な仕組み
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除(住宅取得控除とも呼ばれます)」です。
住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、年末時点のローン残高(年末残高)に一定の控除率をかけた金額を、その年に納めるべき所得税から差し引くことができます。
控除の基本的な仕組みは次のとおりです。
【控除率】年末残高の0.7%(2022年以降の入居)
【控除期間】新築住宅・認定住宅の場合は13年間、既存住宅(一般)は10年間
【控除の上限】住宅タイプ・入居年ごとに設定された借入限度額と所得税額の低い方
所得税は勤務先が毎月給与から源泉徴収(天引き)しています。
1年が終わると実際に納めるべき税額が確定し、住宅ローン控除を適用すると「払いすぎた所得税」が還付されます。
これが「還付金」の正体です。
なお、控除率は2022年以前は1.0%でしたが、低金利による「逆ざや」の解消を目的に0.7%へ引き下げられました(2025年5月時点)。
参照:住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
所得税と住民税への適用の仕組み
住宅ローン控除は、基本的に所得税から控除されます。
しかし、所得税の納税額が少なく控除しきれなかった場合は、住民税(所得割)の一部からも控除できる「住民税特例」があります。
住民税特例の上限は「前年の住民税(所得割)の5%」かつ「年間最大97,500円」です。
※平成26年〜令和3年12月31日入居の特定取得は控除率1%・上限136,500円の特例措置がありますが、本記事は2022年以降の入居を主軸として解説します。
この上限を超えた分は控除されないため、年収が低い場合は住宅ローン控除の恩恵を十分に受けられないことがあります。
住民税の特例控除は自動的に適用されるため、別途申請は不要です。
ただし、所得税と住民税を合わせても控除しきれない分(超過額)については控除対象外となります。
なお、住民税の特例控除は給与所得者・自営業者のどちらにも適用されるため、住民税控除を受けるために別途手続きを行う必要はありません。
住宅ローン控除の還付金はいくら戻る?
還付金の計算方法(3ステップ)
還付金の金額を計算する手順は次の3ステップです。
【ステップ1】年末残高を確認する
毎年10〜11月頃に、住宅ローンを借りた金融機関から「残高証明書」が届きます。
証明書に記載された年末残高が控除計算の基準額です。
【ステップ2】控除可能額を計算する
「年末残高 × 0.7%」が控除可能額(住宅ローン控除額)です。
ただし、住宅タイプごとに設定された借入限度額を超えた残高には適用されません。
【ステップ3】還付金額を確定する
ステップ2で計算した控除可能額と、その年の所得税額を比較します。
控除可能額が所得税額より少なければ、控除可能額がそのまま所得税から差し引かれる仕組みです。
控除可能額が所得税額より多ければ、所得税額が還付上限となり、超過分は住民税特例に回ります。
たとえば、年末残高が3,000万円の場合、控除可能額は「3,000万円 × 0.7% = 21万円」です。
その年の所得税額が25万円であれば、21万円がまるごと還付される計算です。
所得税額が15万円であれば、15万円が所得税から還付され、残り6万円のうち住民税の特例上限(最大97,500円)の範囲で住民税からも控除されます。
年収・借入額別シミュレーション(具体例)
年収と借入額が異なる場合の還付金の目安を、具体的なシミュレーションで確認しましょう。
以下は2024年入居・省エネ基準適合住宅(借入限度額3,000万円)を前提とした試算です(2025年5月時点)。
【ケース1:年収400万円・借入額2,500万円・年末残高2,480万円】
控除可能額:2,480万円 × 0.7% = 約17.4万円
所得税の概算:約7〜9万円(給与所得控除・社会保険料控除後)
→ 所得税額が控除可能額より少ないため、所得税は全額還付されます。
→ 残り約8〜10万円は住民税特例(最大97,500円)で補完されます。
→ 実質的な年間還付金の目安:約10〜17万円。
【ケース2:年収600万円・借入額3,000万円・年末残高2,970万円】
控除可能額:2,970万円 × 0.7% = 約20.8万円
所得税の概算:約17〜20万円
→ 所得税が控除上限に近い金額のため、ほぼ全額を所得税から控除できます。
→ 実質的な年間還付金の目安:約18〜21万円。
【ケース3:年収800万円・借入額3,500万円・年末残高3,460万円(ZEH住宅・借入限度額3,500万円)】
控除可能額:3,460万円 × 0.7% = 約24.2万円
所得税の概算:約35〜40万円
→ 所得税が控除可能額を上回るため、控除可能額がそのまま還付されます。
→ 実質的な年間還付金の目安:約24万円。
上記はあくまでも概算です。
実際の還付金額は、扶養控除・医療費控除・ふるさと納税などほかの控除の影響によっても変わります。
正確な金額を知りたい場合は、国税庁の確定申告書作成コーナーや税理士にご相談ください。
住宅タイプ別の借入限度額と最大還付金(2024・2025年入居)
住宅ローン控除の借入限度額は、住宅タイプによって異なります。
省エネ性能の高い住宅ほど限度額が大きく設定されており、還付金も多くなります。
以下は2024〜2025年入居の借入限度額と、年間の最大控除額の一覧です。
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅
借入限度額:4,500万円(子育て世帯・若年夫婦世帯は5,000万円)
年間最大控除額:31.5万円(同37.5万円)
ZEH水準省エネ住宅
借入限度額:3,500万円(子育て世帯・若年夫婦世帯は4,500万円)
年間最大控除額:24.5万円(同31.5万円)
省エネ基準適合住宅
借入限度額:3,000万円(子育て世帯・若年夫婦世帯は4,000万円)
年間最大控除額:21万円(同28万円)
一般住宅(省エネ基準不適合の新築)
2024年以降の新築は原則として住宅ローン控除の対象外です。
ただし、2023年末までに建築確認を受けた住宅については、借入限度額2,000万円・控除期間10年で適用できます(2024年12月末入居まで)。
子育て世帯(19歳未満の子どもを有する世帯)や若年夫婦世帯(夫婦どちらかが40歳未満)は、借入限度額が上乗せされる特例があります。
住宅購入の際は、自分が対象となるかどうかを事前に確認しておきましょう。
住宅ローン控除の還付金はいつ受け取れる?
以下では、住宅ローン控除の還付金はいつ受け取れるかを年度ごとに詳しく見ていきましょう。
初年度:確定申告して翌年に還付
住宅ローン控除を受ける最初の年(入居した年)は、必ず確定申告が必要です。
確定申告の期間は通常「翌年2月16日〜3月15日」ですが、還付申告(払いすぎた税金を取り戻すだけの申告)の場合は1月1日から申告できます。
申告後の還付金が振り込まれるまでの目安は次のとおりです。
・e-Tax(電子申告)の場合:申告から約3週間
・書面(郵送・窓口提出)の場合:申告から約1〜2ヶ月
早めに還付金を受け取りたい場合は、年明け1月中旬からe-Taxで申告するのがおすすめです。
還付金の振込先は、確定申告書に記入した銀行口座に直接振り込まれます。
振込の際には「国税還付金振込通知書」が送付されるため、金額と振込口座を確認しておくと安心です。
なお、自営業者(個人事業主)は2年目以降も確定申告が欠かせません。
給与所得者のみ、2年目以降は勤務先での年末調整への切り替えが可能です。
2年目以降:年末調整で翌年1月に受け取り
給与所得者の場合、2年目以降は勤務先での年末調整を通じて住宅ローン控除を受けられます。
毎年10〜11月頃に金融機関から届く「住宅借入金等特別控除申告書」と「残高証明書」を勤務先の担当部署に提出するだけです。
年末調整後の還付金は、翌年1月の給与や賞与と合わせて受け取ることができます。
確定申告と異なり手続きが簡単で、2年目以降は会社にお任せできる点が大きなメリットです。
ただし、副業収入がある場合や不動産所得がある場合は、2年目以降も確定申告を行う必要があります。
複数のローンを同時に利用している場合は、申告方法が複雑になる点にも気をつけましょう。
不安な場合は税理士や税務署の相談窓口に確認しましょう。
還付金が思ったより少ないと感じる理由
所得税の納税額が控除上限に届いていない
住宅ローン控除の還付金の上限は、その年に実際に納めた「所得税の納税額」です。
そのため、所得税額が控除可能額より少ない場合、控除しきれない分が生まれます。
年収が300〜400万円台の場合、各種控除後の課税所得は低くなりやすく、所得税の納税額が10万円以下になるケースも少なくないのが実情です。
借入残高が大きく控除可能額が20万円以上あっても、所得税が10万円なら10万円しか所得税からは還付されません。
ふるさと納税の税額控除や医療費控除など他の控除と組み合わせると、課税所得や所得税がさらに低下する点も覚えておきたいポイントです。
結果として、住宅ローン控除の恩恵が限定的にとどまるケースも少なくありません。
住民税の特例控除にも上限がある
所得税から控除しきれない分は住民税から補完されますが、住民税の特例控除にも上限があります。
上限は「前年の住民税(所得割)の5%」かつ「年間最大97,500円」です。
たとえば、控除可能額が21万円で所得税が10万円の場合、残り11万円を住民税から控除することになります。
しかし住民税の特例上限は97,500円のため、残り11万円のうち97,500円分しか補完されず、残額は切り捨てとなります。
この「97,500円の上限」を知らずに還付金が少ないと感じている方は多いです。
上記の例の場合、21万円の控除可能額に対して実際に受け取れるのは「所得税10万円+住民税97,500円=19万7,500円」が最大です。
還付が予想より少ない場合は、住民税の上限に引っかかっている可能性を確認してみましょう。
年末残高が年々減少すると控除額も下がる
住宅ローンを毎月返済するにつれて、年末残高は少しずつ減少していく仕組みです。
控除額は「年末残高 × 0.7%」で計算されるため、残高が減るほど控除額も小さくなります。
住宅ローン控除を開始した最初の年が最も還付金が多く、以降は毎年少しずつ減少していくのが自然な動きです。
繰り上げ返済をした場合はさらに残高が減り、控除額の減少が早まります。
「去年より還付金が少ない」と感じても、それは制度の想定どおりの変化です。
13年間トータルの節税効果で住宅取得コストの補助を受けるという観点で捉えると、制度の仕組みが理解しやすくなります。
控除を最大限に活かすためには、控除期間中はローン残高証明書を毎年しっかりと保管し、申告・年末調整の手続きを欠かさず行うことが大切です。
住宅ローン控除の確定申告:必要書類と申告手順
以下では、住宅ローン控除の確定申告:必要書類と申告手順について、それぞれ見ていきましょう。
初年度の確定申告で用意する書類一覧
住宅ローン控除の初年度の確定申告には、以下の書類を用意します。
必ず必要な書類
①源泉徴収票(勤務先から交付)
②確定申告書(国税庁のウェブサイトまたは税務署で入手)
③(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(国税庁ウェブサイトで入手)
④土地・建物の登記事項証明書(法務局で取得)
⑤住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から郵送)
⑥売買契約書または建築請負契約書の写し
⑦本人確認書類(マイナンバーカードまたは通知カード+写真付き身分証)
省エネ住宅・認定住宅の場合に追加で必要な書類
⑧認定通知書・長期優良住宅建築等計画の認定通知書など(住宅タイプに応じて変わります)
⑨住宅省エネルギー性能証明書または建設住宅性能評価書の写し(ZEH・省エネ基準適合住宅の場合)
新築建売住宅を購入した場合は、不動産会社から「売買契約書」が発行されます。
省エネ住宅の場合は、不動産会社が証明書の取得を代行してくれることも多く、事前に確認しておくと安心です。
確定申告の提出方法と流れ(e-Tax・書面)
確定申告の提出方法は主に2つあります。
e-Tax(電子申告)
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からオンラインで申告できます。
マイナンバーカードと対応するスマートフォンがあれば、自宅から申告が完了します。
還付金の振込が最短約3週間と早い点が大きなメリットです。
書面提出(郵送・窓口持参)
印刷した申告書と必要書類を管轄の税務署へ郵送または窓口に持参します。
e-Taxに比べると還付まで1〜2ヶ月程度かかります。
申告から還付金の振込まで、e-Taxなら概ね次のスケジュールが目安です。
1月上旬:マイナポータルまたは確定申告書等作成コーナーでe-Tax申告の準備
1月中旬〜3月15日:申告受付(還付申告は1月1日から可能)
申告後3週間前後:還付金振込(e-Tax利用の場合)
初めて確定申告を行う場合は、税務署の窓口相談や、住宅メーカー・不動産会社が提供するサポートを活用するのが安心です。
2年目以降は年末調整で手続き(給与所得者)
給与所得者は2年目以降、勤務先の年末調整を通じて住宅ローン控除を受けられます。
毎年秋頃に金融機関から届く「住宅借入金等特別控除申告書」と「残高証明書」を勤務先の担当部署に提出するだけです。
2年目以降の還付は翌年1月の給与・賞与時に受け取ることが多いです。
申告書を紛失した場合は税務署で再発行できるため、慌てずに対応しましょう。
知っておきたい住宅ローン控除の注意点
ここでは、知っておきたい住宅ローン控除の注意点を詳しく解説します。
ふるさと納税と住宅ローン控除を両立するには
ふるさと納税と住宅ローン控除は、要件を満たせば同時活用が可能です。
住宅ローン控除の初年度は確定申告が必須となるため、ふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できません。
初年度は、ふるさと納税についても確定申告での手続きが前提です。
2年目以降は、住宅ローン控除を年末調整で受けている場合にかぎり、ふるさと納税のワンストップ特例を利用できます。
ただし、住宅ローン控除によって所得税の納税額が大幅に減少している場合、ふるさと納税の節税効果が限定的になる点は覚えておきたいポイントです。
ふるさと納税の寄付上限額のシミュレーションを行う際は、住宅ローン控除の影響を加味して計算することをおすすめします。
ふるさと納税サイトのシミュレーターを活用する場合は「住宅ローン控除あり」のオプションを選択してください。
なお、ふるさと納税と住宅ローン控除をどちらも最大限に活用したい場合は、専門の税理士やファイナンシャルプランナーへの相談も有効な選択肢です。
繰り上げ返済・借り換えをした場合の影響
住宅ローンの繰り上げ返済をすると、年末残高が通常より少なくなり、その年の住宅ローン控除額が下がります。
「利息の節約額」と「控除額の減少額」を比較したうえで、繰り上げ返済の判断をすることが大切です。
住宅ローンを借り換えた場合、控除の基準となるのは「当初ローンの年末残高相当額」と「借り換えローンの年末残高」の低い方です。
借り換え先の住宅ローンが住宅借入金等特別控除の適用要件を満たしているかどうかも、借り換え前に金融機関へ確認しておくことをおすすめします。
借り換え額が当初の残高を大きく上回る場合(諸費用込みで借り換えた場合など)は、控除額が思ったより少なくなる可能性があります。
繰り上げ返済・借り換えを検討している場合は、税理士や金融機関の担当者への事前相談が安心でしょう。
確定申告の期限を過ぎてしまった場合
住宅ローン控除の確定申告は「還付申告」に該当するため、申告期限(3月15日)を過ぎても原則5年以内であれば申告できます。
「うっかり申告を忘れていた」という場合でも、遡って申告することで還付金の受け取りが可能です。
ただし、住宅ローン控除は控除期間が最大13年に設定されています。
初年度の申告を忘れた場合、控除期間の起算点は変わらず、その年分の控除は受けられなくなる点に注意が必要です。
気づいた時点でできるだけ早く税務署に相談することを強くおすすめします。
期限後申告の場合でも、住宅ローン控除の初年度申告は「還付申告」として取り扱われるため、加算税や延滞税が発生することはありません。
申告漏れが発覚した場合の手続きは「更正の請求」ではなく、「還付申告(期限後申告)」の形です。
税務署の窓口でも相談に乗ってもらえるため、一人で抱え込まずに相談しましょう。
まとめ:住宅ローン控除の還付金を最大限に活用しよう
住宅ローン控除をフルに活用するには、省エネ性能の高い住宅を選ぶことが重要なポイントのひとつです。
特に、ZEH水準の住宅は住宅ローン控除の借入限度額が高く設定されているため、税制上のメリットを最大限に活かせます。
SOU HOUSE(ソウハウス)は、全棟ZEH基準を取得した北海道の新築建売住宅ブランドです。
札幌市・旭川市エリアで建売住宅をお探しの方は、ぜひSOU HOUSEの無料の資料請求・来場予約をご活用ください。
省エネ性能と暮らしやすさを兼ね備えた住まいで、住宅ローン控除の恩恵を長期的に享受できるかどうか、スタッフが丁寧にご案内します。
- 保有資格
- 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー2級